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マメナジープロジェクトの次世代エネルギー宣言

オバマ政権のGreen Recovery

(月刊ソトコト2009年2月号)

Yes, we can! オバマ氏の勝利演説は、心を熱くするものでした。 一方で、再生可能エネルギー好きの私としては、一番の注目点は、 「今後10年で1500億ドル(15兆円,$=100円換算)を再生可能エネルギーに投資する」 という点です。1年平均にしても1.5兆円が毎年投資されるというのは、 心が熱くなる話です。

演説の裏側には、オバマ氏の選挙中のエネルギー政策、 New Energy for Americaがあるようです。 こちらには、国レベルでのキャップアンドトレード (排出上限=キャップを設定する排出量取引)を導入し、 2050年までに80%の温室効果ガス排出削減を行う、とあります。

さらに調査を進めると、 専門家の間では、金融危機からの回復の切り札として、 「環境ニューディール」が行われる、という予想がされているようです。 それを裏打ちするようなレポートを発見! オバマ氏の政権移行チームの共同代表を務めるジョン・ポデスタ氏が主宰する Center for American Progressというシンクタンクが、 今年の9月に「グリーン・リカバリー」という報告を出しているのです。

この報告書では、2年間に約10兆円を、ビルの省エネ改築や公共交通機関の整備、 送配電網の効率化、そして風力や太陽発電や次世代バイオ燃料に投じることで、 短期的には200万人の雇用創出、長期的には低炭素経済移行のインフラとなることを 目指しています。この約10兆円というのは、2008年4月にブッシュ大統領が家計消費拡大 のためにばら撒くと宣言した金額に等しいそうです。 これよりも、報告書の提案する環境ニューディールの方が、 30万人多く雇用を創出できるようです。

ということで、私も同様の試算をしてみました。 折しも、麻生首相が総額2兆円程度の定額給付金を配ろうとしていますので、 その金額で太陽光発電を、つけられるところにバンバンつけていく、 という"投資型バラマキ"政策と比較してみましょう。 産業連関表(2010年の予測表)を使って計算してみると、 コスト低下による輸出増加を考慮しなくても、 太陽光"バラマキ"の方が、お金バラマキよりも、 雇用創出効果があるようです。

アメリカは、オバマ次期大統領のもと、 金融危機を低炭素経済移行の契機としようとしています。 日本も短期・長期の両方の観点から、必要な対策をしっかりと取り始めないと、 せっかくの技術がもったいないと、心から焦る今日この頃です。

図 太陽光発電が石油などによる発電より安くなるのはいつ?(円/kWh)

考察(その後の動向など)

グリーン・ニューディールという言葉が、どんどん一般のメディアにも浸透してきたようです。 執筆時には、一部のマニアの間の言葉だったのに。

本業の研究業務でいつもご指導いただいている湘南エコノメトリクスの室田泰弘氏は、 2000年頃に太陽光やエコカーによって、環境と経済の両立を図ることこそが、 日本経済の立ち直りに重要だ、とずっとおっしゃってました。一緒にそういった主旨の試算を 2,3やらせていただきましたが、そのようなことが約10年後に実現しようとしているのは、 感慨深いものがあります。

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