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マメナジープロジェクトの次世代エネルギー宣言

動き始めた再生可能エネルギー政策

(月刊ソトコト2009年4月号)

「低炭素社会構築に向けた再生可能エネルギー普及方策検討会」の提言に注目です!

2月10日に環境省の「低炭素社会構築に向けた再生可能エネルギー普及方策検討会」 が提言を発表しました。 これまで福田ヴィジョンや長期エネルギー需給見通しやらで、 「最大導入ケース」と言っていたものより、 大きい導入目標を掲げ、その実現のための方策を検討したもの。 特に太陽光発電を重点的に検討し、2020年に現状の25倍、 2030年に55倍の導入を掲げています。

提言の内容が実現すれば、一戸建ての3軒に1軒が屋根に太陽光パネルを載せ (現在は9軒に1軒)、電気の2割ほどが大規模水力以外の再生可能エネルギーに よって賄われる、そんな社会になります。 また、うまくいけば、日本の太陽光パネル生産が世界で3割程度のシェアを占め、 輸出産業としても期待ができ、それによって70万人程度の雇用が生まれると 試算されています。

なかなか素敵な社会じゃないか、と思うのですが、 もちろん太陽光パネルを導入しても初め発電コスト高いので、 量産効果によってコストが下がるまでは、ある程度のコスト負担が生じます。 それを解決していくためにあるのが政策です。 今回の提言では、どの政策がいいという明言は避けつつも、 ドイツでの成功が目覚ましい固定価格買取制度の場合どうなるのか、 という試算をしています。

固定価格買取制度を導入すると?

固定価格買取制度というのは、市民や企業などが発電した、 発電コストの高い太陽光などの電気を、高い値段で電力会社が買い取る。 そして、そのコスト増分を電気料金に上乗せすることで、 電気を使う人が薄く広く負担しましょう、という仕組み。 となると、電気料金アップがどれくらいかが気になるわけですが、 提言では、標準世帯で月平均260円アップになると試算しています。 生活に最低限必要な電力消費には上乗せしない、 などの低所得者層への配慮もされています。

また、発電した電気をいくらで買い取るか、ということについては、 太陽光パネルを設置した人が10年以下で元がとれるような値段にすること が重要としています。 確かに、家に太陽光パネルを設置するとして、今みたいに電力会社が 電気料金と同じ値段で買ってくれても20〜25年かかるというのと、 10年で元がとれてそれ以降は"儲け"になる(ただで電気が使える) というのでは、設置する人数が随分変わってきますよね。 今回の提言では、10年で元がとれるのに、15年買い取る、としており、 その"お得"度合いはかなりのもの。

こんな社会を実現するためのコスト(火力発電燃料費との差分と 系統対策費、つまり蓄電池や送電網の強化)は、 2030年までの累計で29兆〜30兆円、一方で得られるメリット (輸出増によるGDP増、CO2クレジット購入量削減等)は 58兆〜64兆円と試算されています。

あなたは賛成? 反対? 議論を始めましょう!

用語:固定価格買取制度(Feed-in Tariff, FIT)とは

太陽光発電など発電コストが高いが環境などの面で国策として 進めるエネルギー源から発電した電力を、電力会社が高値で買い取り、 そのコスト増分を電力の消費者が薄く広く負担する制度。 ドイツなど世界36か国以上で導入が進んでいる。

考察:その後の動向など

この提言が発表されて12日後の2月24日、経済産業省から余剰電力(家庭に太陽光発電を付けた 人が、家で使いきれなかった電力)を、これまでの倍の50円で10年間買い取る政策を発表 しました。これと、1kWあたり7万円の補助金を組み合わせることによって、 もし、太陽光パネルで発電した電気の半分が余剰電力となる場合、 投資回収年数は、15年程度になるとのことです。今は28年ですから、 相当短くなりましたね。

でも、個人的にはこれでは爆発的な普及にはつながらないのではないか、 との懸念があります。10年を切る政策、しかもある程度投資に対して見返りがないと、 わざわざリスク(故障リスク、政策変更リスク等々)をとってまでお金をつぎ込まないですよね。普通。

現在、この政策によってどれくらい普及が進むのか、シミュレーションをしている ところです。6月号のソトコトには、発表できると思いますので、是非みなさん、 たまには雑誌も買ってみてくださいね。

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