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マメナジープロジェクトの次世代エネルギー宣言
日本版固定価格買取制度は成功するか?
(月刊ソトコト2009年7月号)
前回紹介した「日本版固定価格買取制度( 以下日本版FIT)」。 今回は、その政策で、どのくらい太陽光が増えるのか、という試算を紹介します。
といっても、誰もそういった試算を発表していないので、独自に計算。 経済産業省の発表した「日本版FIT」に加えて、環境省の 「低炭素社会構築に向けた再生可能エネルギー普及方策検討会」が提言している 「投資回収年数8年くらいになるFIT (注)」についても、その政策効果を計算。 方法によって結果に幅は出てしまうのですが、ここでは環境省の検討会が使った式を 簡略化した式で出した結果をご紹介します(図1)。
経済産業省の政策では、2020年に約1000万kWの太陽光が付きそうです。 福田ヴィジョンでも言及された長期エネルギー需給見通しの最大導入ケースが2020年に 1400万kWですから、この政策だけだと、目標達成率は7割程度。 もちろん、何の政策も打たなかった場合は2020年に400万kWですから、 政策の効果は甚大だと言えます。 また、環境省の提言のように、投資回収年数8年とすると、 2020年には一戸建ての屋根だけで2000万kW設置されそうです。 これだと日照条件のいい一戸建ての約50%には太陽光発電システムが載っている、という状態になりそうです。
FITの場合、電力会社が、高く買い取った分を一般家庭の電気代から回収することになります。 経済産業省の政策では、この各家庭の負担額のピークが2014年ごろの0・18円/kWh、 平均的世帯だと月額91円となりそうです。一方の環境省の提言では、ピークは2019年ごろの 1・15円/kWh、月額538円。ま、そもそも電気代には電源開発促進税やら、 再処理引当金やらが載っていますから、これを高いとみるか、安いとみるかは、もう少し議論が必要そうですね。
特定非営利活動法人世界マメナジー基金 理事長
株式会社Governance Design Laboratory 取締役副社長/主任研究員
高瀬 香絵
考察(2009/7/24)
その後、若干の修正をしたレポートを作成いたしました。
- GDLによる試算: 太陽光発電買取制度の設計による影響評価 〜日本型FIT(Feed-in Tariff)と環境省提案の比較〜
また、2009年7月1日には、太陽光発電からの余剰電力買取の根拠となる法律の改正があり、 現在施行の詳細を検討しているそうです。2009年中には施行したいということですので、 近々、太陽光発電の経済性がぼん!と上がることになるのは確定のようです。これによるコスト低下が順調 に行けば、いいループに入るのでしょうが、それにしても、まだまだ2020年2800万kWという目標には 届きそうにありません。
本当に太陽光発電を目標のような規模に増やしたいのなら、家庭の屋根だけではなくて、 ビルや公共施設などの業務部門、工場や遊休地への設置などの産業・転換部門への 政策(できれば経済性を上げる政策)が必要不可欠なのでは、と思います。
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