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マメナジープロジェクトの次世代エネルギー宣言
温暖化の中期目標を読む(1)
EU目標のからくり
(月刊ソトコト2009年8月号)
6月10日に、温暖化中期目標の日本案が発表されました。 中期というのは2020年。それまでに日本は2005年比で15%削減します というもの。
NGOや評論家の方々は大反撃。というのも、京都議定書の基準年 90年比で計算しなおすと、-8%。-6%から比べると、2%しか減らさない。 90年比で2005年が8%増えちゃっているからこれだって大変、 というのだって言い訳だ! そこまで減らさなかった日本政府の怠慢だ、とこういう論調です。
NGOや評論家の方々が理想とする"EU"は、 どれだけすごい目標を掲げているかというと、90年比20%減と言っています。 日本の90年比8%と比べてしまうと、倍以上。 これでは国際交渉の場で日本が恥ずかしい、というものです。
一方で、日本エネルギー経済研究所のプレスリリースによれば、 EUの90年比20%減は、減らすのが大変なCO2を減らさなくても、 達成できるようになっている、との見解を出しました。 旧東欧圏を取り込んだことで約-10%、CDM/JIや森林吸収で約-6%、 CO2以外のガスの削減で約9%、これで十分90年比20%削減を達成して おつりがくるとの分析です。 つまり、EUは、国内で頑張るかどうかはおいといて、国際交渉の場では、 容易に達成できる目標を出してきているという指摘です。
そもそも、日本が、CDMや森林吸収を入れない数値を、 入れた数値と比較されちゃっている時点で戦略下手だなぁ、 と思うわけですが、NGOや評論家の方々も、もっと根本的な箇所である 「実現のための政策を伴っていない」点をしっかり批判してもらいたいものです。
次回は、中期目標の議論で出てきた「限界削減コスト」についてと、 そこから私が提案したい「世界環境税」について、お話したいと思います。
特定非営利活動法人世界マメナジー基金 理事長
株式会社Governance Design Laboratory 取締役副社長/主任研究員
高瀬 香絵
考察(2009/11/12)
その後、民主党政権になって90年比-25%、2005年比だと-35%の目標が 出されました。厳しい目標ですが、私はそっちに行くしかないのかな、 と思っています。程度ややり方には議論の余地はありますが、 グローバルとローカルをしっかりすみ分けて(今はやりの言葉でいうと、 「仕分け」て)、対外依存の少ない経済に移行することでしか、 日本経済の健全な発展の未来はないのではないでしょうか。
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